人事部の女神さまの憂い

なんで?と見上げると

「そんな顔してもダメ。まだ俺、返事聞いてないんだけど」

意地悪な顔をしている藤木さんと目があった。なんだか急激に恥ずかしくなってきて顔を手で覆っていると、その手も外されて

「へ・ん・じ」容赦なく迫られる。さっきもキスしちゃったし、きっと断るはずなんてないって知ってるくせに。でも、ちゃんと私も言わないと、と心を決めて、藤木さんの手を取って、今度は私が両手で藤木さんを手を包み込む。

「この手が私だけのものになればいいのに、って思ってました。藤木さんと一緒にいると、すごい満たされた気持ちになって、幸せってこういうことなんだなって初めてわかったんです。

 ずっとこうやって、この手をとって歩いていきたいです」


思い切って言ったのに、やっぱり藤木さんは意地悪だった。

「手だけ?」ニコリともせずに、首をかしげている。

「ちっ、違う。藤木さんと一緒に生きていきたいです」

そういって今度こそ、と藤木さんに手を伸ばすと、抱き着くことに成功した。ぎゅっと腰にっしがみついて胸に顔を埋めると、ようやくぎゅっと抱きしめかえしてくれる。

ようやくほっとしてなのか、嬉しくてなのか、感動してなのか、よくわからないけど、涙がぽろぽろと止めどなく流れてきた。

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