人事部の女神さまの憂い

なんだか取り残されたようで淋しいなと思っていると、バスルームのドアが開いて

「お前も一緒に入る?」

と顔を出してくる。淋しいのをわかってくれてるんだと思うと一気に気分があがって、はいと返事をしながら起き上がりバスルームに飛び込んだ。

まさか一緒に入るとは思っていなかったようで

「まじかよ」と苦笑いをしていた藤木さんだったけど

「なんかちょっとでも離れがたくて」

と言うと、困ったような笑い顔をして抱きしめてくれた。



「せっかくだから、どっか寄っていく?」

本当にチェックアウトの時間ギリギリに身支度を終えてホテルを出た。

「んー。とりあえずお腹すきました」

「それ、俺も。まずは、どっか入るか」

そう言ってしばらく車で走った後止まったのは、海が見えるオシャレなカフェだった。

「藤木さん、ほんとこういうお店よく知ってますよね」

迷うことなくここまで走らせてたから、きっとこれまでも綺麗なお姉さん達ときてたんだろうなと思いつつも感心して言うと、ちょっとバツの悪そうな表情の藤木さんと目があった。

あ、嫌味だと思われてる?と思って

「いえ、よく知ってるなって純粋に感心しただけですよ」

フォローすると

「それはそれで、ちょっと複雑なんだけど」

めんどくさいことを言っている。藤木さんって意外にかわいいよね、と昨日からこれまで知らなかった藤木さんの一面を思い出していると

「別のとこにする?」と聞かれる。

「どうせ他も同じような感じでしょうし、ここでいいですよ」

何気なく答えると

「お前なぁ・・・」ため息をつかれてしまった。


< 462 / 471 >

この作品をシェア

pagetop