人事部の女神さまの憂い

お店で案内された席に座りながら

「だって藤木さんが散々遊んでたことなんて昔から知ってるし、どうしようもないじゃないですか」

励ます意味で言ったのに

「散々、とか言うなよ」不貞腐れていらっしゃる。

「じゃあ、手あたり次第?」

「余計、悪いわ」

ツッコミながら笑ってくれたので、なんとかご機嫌は治ったようだ。むしろ、ほんとは私の方が機嫌悪くなってもいいはずなのに、なんでこの人のご機嫌とってるんだ、と気付いて今さらながらイラッとしていると

「ニシユリ、何にする?」メニューを渡された。

とにかく2人ともお腹がすいていたので、一番ボリュームのありそうなホットサンドのセットをオーダーしてから、さっきからちょっと気になっていたことを口にした。

「なんか、こうやってるといつも通りですよね」

何が言いたいのかわからないようで、ん?と首をかしげている藤木さんに

「なんか全然、実感がわきません」

と言うと、はぁとため息をつかれた。めんどくさいこと言っちゃったかなと不安になっていると

「俺、さっきから結構緊張してんだけど」

意味不明な言葉が帰ってきた。緊張?と聞き返すと

「そう。なんか今さらだけどお前に嫌な思いさせてんじゃないかとか。やっぱりヤダって言われたらどうしよう、とか」

びっくする答えが返ってきた。

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