人事部の女神さまの憂い

いつも自信満々で、昨日のプロポーズですら断られるとは思ってもなさそうな感じだったのに・・・。

「俺の方がちゃんとニシユリのこと手に入れられたのか実感ないのかもな」

ちょっと弱弱しく話す藤木さんの言葉を聞いて切なくなって、テーブルの上にあった藤木さんの手を取って

「これ私のなんですよね?」と聞くと

「おう」と返してくれる。

「ニシユリじゃなくって、フジキユリになれるんですよね」

と続けると、さっきまでの表情から一転大好きな無邪気な笑顔になって

「おう。なんなら今からフジキユリになりにいくか?」

と言ってくれた。ここでようやく昨日言ってくれたことは本当に現実なんだって実感が出来て、喜びが込み上げてきた。

「なんか本当にもうずっと一緒にいたいです」

「じゃあ、今日はとりあえず部屋でも探しにいくか?」

いきなりの提案にびっくりした。さっきの今からフジキユリにっていうのは冗談だってわかったけど、こっちは本気だ。

ちょっと戸惑っていると

「俺の部屋だと会社遠くなるし、お前の部屋より狭いんだよ。お前んとこ転がり込むのは男として俺がやだし。買ってもいいんだけど、それはちゃんとゆっくり探したいだろ。だから取りあえず賃貸で新居決めちゃおうよ」

そんなとこまで考えてくれての発言だったんだと、改めてびっくりしつつも「新居」っていう響きが甘くて、ふふと声に笑みが漏れる。

そうしている間にもスマホでサクサク検索をしている藤木さん。

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