人事部の女神さまの憂い
「通勤考えるとやっぱニシユリすんでるあたりがいいよな。駐車場付きだとこのへんかな」
言いながら既に何件かピックアップをしているところを見ると、さすが仕事が早いなと感心してしまう。
「お前、なんか条件ある?」と聞かれて
「バストイレ別で1階じゃなかったら」
思い浮かぶことを伝えると
「じゃあ大丈夫だな」と言うとおもむろにスマホ片手に席をたった。
そして早速不動産屋さんに予約を入れてきた藤木さんにせかされるようにホットサンドを食べ、午後からは物件巡りをすることになった。
そして3件目に見た物件が、今住んでいるところからも比較的近くて、広くて、キレイで駐車場もついているということで、その日のうちに契約を済ませた。
正直家賃が高すぎないかと思ったけど
「今の俺のとこと、お前のとこの家賃合わせた額より断然安いだろ」
当たり前のことを堂々と言われて、抵抗するのをあきらめた。結婚するならそれこそお金のことどうするのかとか、生活のこととか、仕事のこととか色々考えないといけないんだろうな、と現実的な部分もちゃんと考えないとぼんやりと思うだけだった。
だけど、やっぱり暴君は暴君だった。