健診診断と恋と嘘
「朔ちゃん?」
戸惑った声をあげる小塚さんの声が聞こえるけど、その人から視線をそらせない。
怯えた顔をしているだろう私に、その人は切れ長の瞳を細めてニヤリと笑った。
「久しぶり、朔夜。へえ、何、新しい男? 俺と別れて半年くらいなのに、もう新しい男が出来たんだ」
「章……」
皮肉めいた笑みを浮かべて私を見ているその人は、私が半年前まで付き合っていた男、大久保章だった。
同じ病院で理学療法士をしていた章は私より一つ年上で、章から告白されて三年間付き合っていた私の初めての彼氏だ。
「で、まだそうやってメソメソしてるんだ。悲劇のヒロイン気取りで。本当にウザいね、朔夜は」
そう言った章が冷たい笑みを浮かべて私を見る。
その視線にビクリと身体が震えて、小塚さんの服をすがるようにぎゅうっと握ってしまう。
病院で見ていた章はすごく優しい人で患者さんからも人気があった。