健診診断と恋と嘘

「あの男が朔ちゃんの事を人殺しって言ってたの、それ?」


小塚さんにそう聞かれて、私は頷く。


どう思われるのかが怖くてぎゅうっと小塚さんに抱きつく私を小塚さんもきつく抱きしめ返してくれる。


「あいつ、本当に最低だな。一発殴っとけば良かった。
朔ちゃんは人殺しなんかじゃないよ。
そんなわけないでしょ。お母さんが命を賭けて生んでくれたんだから、もっと自分を大切にしないと……本当に何であんな男と付き合ってたかな」


それは自分でも思うけど、最初の頃は優しかったし……ちゃんと好きだった時期もあった。


ああ、でもやっぱり小塚さんは受け止めてくれるんだな。


受け止めてもらえたことが嬉しくて、すごく安心してしまって身体から力が抜ける。


私を安心させるみたいに背中を撫でてくれる手がすごく優しくて、愛おしさがこみあげる。


好きだな、この人のことが。すごく好きだ。


好きで好きで、喉の奥がぎゅうっと苦しくなる。


知らなかった。こんな風に一人の人を想う気持ちを、初めて知った。


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