健診診断と恋と嘘

恐らくそれも顔に出ているであろう私に凌ちゃんが軽くキスして微笑む。


「ほんと、朔夜はかわいい。やっと……だけどその前に頑張らないとな。これはプレゼン、プレゼン。行こう、朔夜」


そう呟いた凌ちゃんに促されて、私は十年ぶりの実家に向かって出発した。


実家が近付いてくると変わらない景色にちょっとだけ懐かしい気持ちになる。


ここに凌ちゃんと来てるとかちょっと不思議な感じ。しかも結婚の挨拶とか。


「ここが朔夜の育った町なんだ。実家から離れたかったんだろうけど、何でこっちの方にしたの?」


「海があったから、かな。海のない県なんで海のあるところがよくて」


それだけでたまたま選んだだけなんだけど……高倉さん達に、何よりも凌ちゃんに出会えたからそこにして良かったかな。


「そうなんだ。良かったな、俺のところに朔夜が来てくれて」


「私も、良かった。凌ちゃんに会えて……あっ」


実家に近付いてくると、家の前で誰かがウロウロしていることに気付く。


熊みたいなあのシルエットは……。


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