青涙
<お…姉ちゃ…ん?>

<那…子…ごめんな…さい>

お姉ちゃん…もしかして…気づいちゃったの?

<ああ…私が毎週…欠かさず…見てる音楽番組を…録画…し忘れてた事? 別に…謝らなくて…いいよ…。私…全然…気にしてないし…>

<それ…じゃない…。私が…忘れて…たのは…>

<お姉…ちゃん…もう…いいって…>

もういいの…。

<那子…あなたの…>

<もう…いいってば!!!>

お願い…。お願いだから…。

泣かないでよ…。お姉ちゃん…。

お姉ちゃんが泣いてたら私…。

今よりもっと悲しくて…。

泣いてしまう…。

<うっ…うううううう…>

<ごめんね…。那子…
誕生日…忘れて…本当に…ごめんね…>

<うっ…うううううう…>

<ごめんね…ごめんね…>

私も謝るよ…。

ごめんね…お姉ちゃん…。

謝らせて…ごめんね…。

私…もっと違う日に…産まれれば…良かったね。

そしたら、いつも通りに家族三人で誕生日パーティーできたのに…。

ごめんね…お姉ちゃん…。

泣かせて…ごめんね…。

私…本当は…思い出して欲しいって思ってた…。

お姉ちゃんが…泣く姿なんてもう見たくないって…思ってたのに…矛盾してるよね?

ごめんね…お姉ちゃん…。

二人きりの幸せな時間を壊して…ごめんね…。

私…お姉ちゃんと変人が二人きりで過ごす事…。

嫌だ…。

嫌だ……。

嫌だ………。

何度も思ってた…。

でも、二人が幸せに過ごせるならいいって…。

必死に…必死に…そう思い込ませてたのに…。

どうして…

こうなっちゃうのよ…。
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