青涙
私を?

あの変人が探してる?

<そんな…うっ…わけ…ううっ…ないじゃん…>

お姉ちゃんをほっといて、私なんかを探すわけないよ…。

でも、もし…。

もし…お姉ちゃんの言った通り私を探してるんだとしたら…。

<お姉ちゃ…ううっ…ん…東間…うっ…くんに…電…ううっ…話して…>

<…えっ?>

<早…く! 電話し…うっ…て! そして…うっ…戻っ…ううっ…てきて…うっ…って言うの。私は…うっ…大丈…ううっ…夫だか…ううっ…らって…>

お姉ちゃんの所に戻って! 早く!

<電話なら…した…。
けど…出ないの…。
何回もかけてるんだけど…>

<そんな…>

私を一人で見つけられるわけないのに…。

私を探し続けたりなんかしたら…誕生日が終わっちゃう…。

そんなのダメ!!!

<私…東間くん…うっ…の事…探すね…。
見つ…うっ…けたら…すぐに…連れて…行く…うっ…から…>

<那子! ……>

「探さ…うっ…なきゃ…」

電話を切り、ベンチから立ち上がり、前を見ると…。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

嘘…。

息をきらし、立っている。


「東間…くん…」



変人が居た。

「本当に…ううっ…私を…うっ…探してたんだ…」
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