青涙
「そうだよね。
誕生日なのに一人って…可哀想だよね…」

「私は…うっ…別に…ううっ…お姉…うっ…ちゃんを…ううっ…責めて…うっ…るわけじゃ…」

「真洋もそう思ったのかもね」

「…えっ?」

「だから、那子を探しに行った…。
那子を一人にしたくなくて…」

「私は…うっ…一人に…ううっ…なろうと…ううっ…した…うっ…わけじゃ…。
平太の…うっ…家に…ううっ…行こ…うっ…うとし…うっ…たけど、行け…なかった…だけで…」

「ねぇ、那子…。
誕生日プレゼントは用意出来なかったけど、ここには豪華なご馳走と美味しそうな誕生日ケーキがあるから、これから誕生日パーティーしない?
お母さんも呼んで」



「おはよう」

「那子。お前昨日、家出したのか?
未子から居るかって電話来たけど」

「してないけど」

「もしかして、誕生日を忘れられたのか?
だから、怒って家出…」

「してないから!! うっ…」

「マジで…忘れられたのか?」

「それ…うっ…は…」

「ひどくないか? 自分の娘、妹の誕生日を忘れるなんて…」

「お母…うっ…さんは…ううっ…覚え…うっ…てた」

「未子が忘れてたのか…」

「忘れ…うっ…てた…ううっ…けど」

「行ってくる」

平太が椅子から立ち上がる。

「ど…うっ…こに…」
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