冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「バカ。まだあんたが動く時期じゃないでしょ?今は明日のことだけを考えて」


「あの二人が諒の自由を奪い、摂食障害にさせ、冷徹社長の仮面をつけたと思うと居ても立っても居られなくて。悔しくて、悔しくて」


悔しくて涙が溢れてきた。どうしてあんなこと言われなきゃいけないんだろう。唇を噛み締め、涙をこらえていると、三宅さんが私をぎゅっと抱きしめてくれた。


「桜木、あんたまた商品を庇って怪我したでしょ?もっと自分を大切にしなきゃ離れている社長も気が気じゃないわよ」


「だって、これはたくさんの人の手で作られた商品なんですよ?あんな女が踏んでいいものじゃない。でももう売り物じゃなくなっちゃいましたね。私が・・・」


「私が買うわ。桜木が守ってくれたもの、大事だと思えるもの、私が持ちたいの。離れていても桜木のことを思い出したい。あなたは私の誇りよ」


「三宅さん・・・」


それからしばらく、お客様が来るまて私たちは泣きながら抱きしめあった。


夕方、結局今日も疎らなお客様の数で売れたのも財布とパスケースの二つだけだった。それにしても、あの女、結構勢いよく踏んだからさっきからずっと、右手が痛む。


明日からEMISIAの期間限定ショップが始まるというのに、こんな痛み、感じてる場合じゃないのに。
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