アンフィニッシュト・ブルー(旧題 後宮)
「ミハイル……っ……!」
行かないで。
戻ってきて。
私が間違っていた。
私だってあなたなしでは生きていけない。
だから、行かないで。
声に出して叫んだのか、心の中で叫んだのか、自分でもわからなかった。
「危険ですから、車に戻ってください!」
空港職員が立ち止まったまま動かない私と井出さんに向かって叫んだ。
「さあ、もう行きましょう」
井出さんの言葉に、私はぎゅっときつく目を閉じた。
これで終わりだ。
もう、終わりなのだ。
私は自分の恋と、咲きそめた彼の純情を摘(つ)み取って握りつぶしてしまった。
自分のこの手で自分と彼の気持ちを破壊したのだ。