デジタルな君にアナログな刻を
面接当日は、いつもより1時間早起きして臨んだ。
自宅である築37年の市営住宅から、最寄り駅までは自転車で約20分。そこから電車に10分ほど揺られて着く駅からは、更に歩いて10分くらいの道のり。
駅構内の移動や電車の待ち時間を考え、多めに余裕を見積もっても1時間程度の通勤時間は、片道2時間近くかけていた大学よりもずっと楽に思える。
念のために、約束の時間の1時間半前に家を出た。ネットで確認しても、電車の遅延情報はない。万全を期して面接を受ける会社に向かった、はずなのに……。
その大切な面接の時間に、わたしは5分くらい遅れてしまうのだ。
ほんの少しずつずれていった時間の歯車は、わたしを遅刻という取り返しのつかない事態へと導いた。
初めのズレは自転車置き場で起きる。
ぎちぎちに並んでいたはず自転車が、ドミノのように倒れていてた。しかも、わたしの愛車は下から2番目。順に一台一台起こしていかなければ取り出せない。仕方ないので、20台くらいある自転車を順番に元通りに戻していった。
気ばっかり焦って手間取ったけれど、やっと自分の自転車を救出して確認した時刻は、まだ5分と経っていない。大丈夫、大丈夫。自転車に跨がり駅へ向かって走り出した。
途中でけっこう交通量の多い国道を渡らなくてはいけない。横断歩道直前で点滅信号が赤に変わり、停止を余儀なくされた。だけど長いんだな、ここの信号。イライラしながら待っていると、こういうときに限って通る車も少なくて。
一瞬、良からぬ標語が頭に浮かんだけれど、じっと青に変わるのを待った。
さらに工事中の道路にあたり、ガタガタ鳴る木の板を渡した即席の道の上を、降りた自転車を曳きながら歩かされる。
いつもより時間がかかって着いた駐輪場は、以前まで駅舎横だったのが駅周辺が大きく変わったのに伴い場所が変わっていて、屋根が付き綺麗になったけれどほんのちょっと遠くなっていた。
隙間を見つけて自転車をねじ込み、駅へと急ぐ。早足で歩きながら腕の時計をみると、約束の時間までまだ1時間近くある。なんだ、余裕じゃない。
歩く速さを緩めた足が、なんとなくスースーすることに気がついた。
あ、ストッキングが破れている!? きっと、自転車と格闘した時に空いたんだ。
幸い替えはバッグに入っていたので、急いで駅の化粧室を探した。
自宅である築37年の市営住宅から、最寄り駅までは自転車で約20分。そこから電車に10分ほど揺られて着く駅からは、更に歩いて10分くらいの道のり。
駅構内の移動や電車の待ち時間を考え、多めに余裕を見積もっても1時間程度の通勤時間は、片道2時間近くかけていた大学よりもずっと楽に思える。
念のために、約束の時間の1時間半前に家を出た。ネットで確認しても、電車の遅延情報はない。万全を期して面接を受ける会社に向かった、はずなのに……。
その大切な面接の時間に、わたしは5分くらい遅れてしまうのだ。
ほんの少しずつずれていった時間の歯車は、わたしを遅刻という取り返しのつかない事態へと導いた。
初めのズレは自転車置き場で起きる。
ぎちぎちに並んでいたはず自転車が、ドミノのように倒れていてた。しかも、わたしの愛車は下から2番目。順に一台一台起こしていかなければ取り出せない。仕方ないので、20台くらいある自転車を順番に元通りに戻していった。
気ばっかり焦って手間取ったけれど、やっと自分の自転車を救出して確認した時刻は、まだ5分と経っていない。大丈夫、大丈夫。自転車に跨がり駅へ向かって走り出した。
途中でけっこう交通量の多い国道を渡らなくてはいけない。横断歩道直前で点滅信号が赤に変わり、停止を余儀なくされた。だけど長いんだな、ここの信号。イライラしながら待っていると、こういうときに限って通る車も少なくて。
一瞬、良からぬ標語が頭に浮かんだけれど、じっと青に変わるのを待った。
さらに工事中の道路にあたり、ガタガタ鳴る木の板を渡した即席の道の上を、降りた自転車を曳きながら歩かされる。
いつもより時間がかかって着いた駐輪場は、以前まで駅舎横だったのが駅周辺が大きく変わったのに伴い場所が変わっていて、屋根が付き綺麗になったけれどほんのちょっと遠くなっていた。
隙間を見つけて自転車をねじ込み、駅へと急ぐ。早足で歩きながら腕の時計をみると、約束の時間までまだ1時間近くある。なんだ、余裕じゃない。
歩く速さを緩めた足が、なんとなくスースーすることに気がついた。
あ、ストッキングが破れている!? きっと、自転車と格闘した時に空いたんだ。
幸い替えはバッグに入っていたので、急いで駅の化粧室を探した。