デジタルな君にアナログな刻を
そうだ!ごそごそとバッグの中を漁る。それは奥の方に潜ってしまったらしい。探すのに邪魔になる、さっき駅でもらってきた無料の求人情報紙や、常に持ち歩いている履歴書セットを取り出してテーブルの上に置いた。
あ、あった。ようやくみつけた腕時計を取り出す。昨日外してそのままの時計は、まだ2時19分を示していた。
「これ、遅れているんですけど、壊れちゃったんでしょうか?」
「うーんと。この時計っていつから使ってる?」
受け取った腕時計の裏側や文字盤を見ながら尋ねられ、記憶を掘り起こす。受験用にとホームセンターで買ったものだ。
「1年くらい前、かな」
「じゃあきっと、電池が切れたんだね」
「時計の電池って、そんなに早く切れるものなんですか?」
いままで時計の電池なんて意識したことがなかった。こんな小さな中にも入っているんだ、と感心までしてしまう。
「最初に入れてあるのはモニター用だから、早く切れることが多いんだ。店に置かれていた期間などにもよるけれど、1年もたないこともあるよ。だからウチの店で購入してもらった時計の初回の電池交換は、サービスにしている」
「そうだったんですか。……交換するのって、けっこうかかります?」
「時間?金額?」
「お金の方で」
つい小声になる。時間さえわかればいいと二千円くらいで買った時計に、それほど高い金額は払えないというのが本音。
「特殊なものでなければ、ウチは千円プラス消費税でやってるけど。時間は……そうだなあ、15いや、30分くらいかな」
前髪の下から上目遣いで向けられた瞳は「どうする?」と尋ねてくる。
「お願い、します」
「あ。そう、なんだ」
仕事を依頼をしたというのに、彼は浮かない顔でまた裏へ消えると、今度は緑茶を入れて戻ってきた。
「ではお預かりします。少しお待ちいただけますか」
口調がお客さんに対するものに変わる。思わずよろしくお願いいたします、と座ったまま頭を下げてしまっていた。
あ、あった。ようやくみつけた腕時計を取り出す。昨日外してそのままの時計は、まだ2時19分を示していた。
「これ、遅れているんですけど、壊れちゃったんでしょうか?」
「うーんと。この時計っていつから使ってる?」
受け取った腕時計の裏側や文字盤を見ながら尋ねられ、記憶を掘り起こす。受験用にとホームセンターで買ったものだ。
「1年くらい前、かな」
「じゃあきっと、電池が切れたんだね」
「時計の電池って、そんなに早く切れるものなんですか?」
いままで時計の電池なんて意識したことがなかった。こんな小さな中にも入っているんだ、と感心までしてしまう。
「最初に入れてあるのはモニター用だから、早く切れることが多いんだ。店に置かれていた期間などにもよるけれど、1年もたないこともあるよ。だからウチの店で購入してもらった時計の初回の電池交換は、サービスにしている」
「そうだったんですか。……交換するのって、けっこうかかります?」
「時間?金額?」
「お金の方で」
つい小声になる。時間さえわかればいいと二千円くらいで買った時計に、それほど高い金額は払えないというのが本音。
「特殊なものでなければ、ウチは千円プラス消費税でやってるけど。時間は……そうだなあ、15いや、30分くらいかな」
前髪の下から上目遣いで向けられた瞳は「どうする?」と尋ねてくる。
「お願い、します」
「あ。そう、なんだ」
仕事を依頼をしたというのに、彼は浮かない顔でまた裏へ消えると、今度は緑茶を入れて戻ってきた。
「ではお預かりします。少しお待ちいただけますか」
口調がお客さんに対するものに変わる。思わずよろしくお願いいたします、と座ったまま頭を下げてしまっていた。