肉食系御曹司の餌食になりました

それからは智恵の幸せいっぱいなノロケ話の聞き役に徹する。

智恵の彼氏はスマホの画像でしか見たことがないけど、爽やか好青年ふうだ。

年齢は四つ上の三十二歳で、支社長と同じ歳なんだよね……。


智恵が嬉しそうな顔して彼について話すのを、素敵だと思い聞いていた。

でも羨ましくはならない。

昔から私は周囲に釣られて恋をしたくなるタイプではなく、素敵だと思う対象人物が現れてから恋愛を意識する。

結婚についても同じ。

今、彼氏も、付き合いたいと思う人もいないので、全くと言っていいほどに結婚願望が湧かない。


智恵の左手の薬指には、社内では外していた婚約指輪が輝いている。

時々ダイヤを弄りながら頬を染め、ふたりで住むためのマンション探しを始めなければと話していた。

そのとき、テーブルの端に置いていた智恵のスマホが震えた。

「あ、マサヒトからだ」と通話に出た智恵は、婚約者と二言三言会話した後に「じゃあ、今から来る?」と聞いていた。


「亜弓、マサヒトも来たいって言うんだけど、いいかな?」


その問いに、ワインを飲みつつ左手でOKサインを出す私。

親友の結婚相手には興味がある。

智恵から話はたくさん聞いていても、実際に会って話さないとイメージが具体的にならない。

一度会ってみたいと思っていたので、ちょうどいい機会かもしれない。

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