肉食系御曹司の餌食になりました

種田さんの視線が、私の顔や上半身に向けられていた。

彼の中での私の評価が、急上昇していくのが見て取れる。

地味だけど、よく見れば素材は悪くないかもしれない。オシャレ感ゼロだけど、脱げばいい女なのかもしれない。こんないい男に求められるくらいなんだから……そんなことを考えていそうな気がした。


第一印象の方が正解なのに、支社長のお陰で無理やり評価を上げられた私。

いつもなら『そんなわけないでしょ』と冷めた感想を持つところだが、今は私も酔っていて、少しだけいい気持ちにさせられる。

『見直した?』と言ってやりたい気分だった。


嬉しそうな顔をする智恵は急に立ち上がると、バッグを手に支社長に言う。


「ちょっと用を思い出しまして、私達はこれで失礼します。後はおふたりでごゆっくりどうぞ」


彼氏を押し出すようにしてボックス席から出た智恵は、私に目配せすると、「明日、飲み代払うから」と言い置いて店を出てしまった。

今日はお祝いで、私がご馳走するつもりだったから、代金はいらないけど……。

支社長が来る前は、私の方が気を利かせて早めに帰ろうとしていたのに、なぜか逆になっていた。

ボックス席の同じシートに座る私達。

「私はそっちのシートに移りますね」と言ったら「なぜ?」と聞き返され、肩に回された左腕も退けてくれない。

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