肉食系御曹司の餌食になりました

今日は八日振りにステージに立つ日だから、喉と口の環境には気をつけたいと思っていた。

するとスーツの腕が伸びてきて、急にメガネを外される。

驚く私の目の前で、メガネを手にした支社長がニヤリと笑っていた。


「なっ……なにするんですか!
返して下さい!」

「思った通り、メガネを外すと印象が変わりますね。知的な美人から、素朴な可愛らしい少女に変わったという感じでしょうか」


知的な美人ではないけれど、それよりも素朴な可愛らしい少女って……。

慌てる気持ちが引いたのは、Anneとは百八十度違う感想を言われたせいだ。

Anneは華やかで大人っぽい女性をイメージして、メイクをしている。

アクセサリーとドレスとウィッグを身に纏えば、素朴な少女とかけ離れた印象だろう。

ということは……メガネを外しても不都合はない。

同一人物だと気づかれることはないと判断し、メガネを返してもらったその後もかけずにテーブルに置いたまま、続きを食べる。

そんな私をクスリと笑って見つめながら、彼は優雅な仕草で肉餃子を食べていた。


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