肉食系御曹司の餌食になりました
ふーん、花村さんに教えてもらったんだ。
ということは、ドレスを買う話しを出したときには、既にこの店について知っていたということなのか?
小丸百貨店前で待ち合わせたんだから、多分そういうことなのだろう。
昨夜のバーカウンターで飲みながらの会話は、たまたまじゃなかったみたい。
ドレスを買うこともデートに持ち込むことも、あらかじめ彼の頭の中に予定が組まれていて、実現の流れになるように会話を作られたんだと今気づく。
もしかするとピアスをプレゼントしてくれた夏から、デートの計画が始まっていたりして。
やっぱり支社長は策士だ。
この後にどんな企てがあるのかと、ハラハラさせられる……。
完全オーダーメイドと書かれた店内で、上品な見た目の女性店員が対応してくれた。
「麻宮様、いらっしゃいませ。姉妹店の花村より、お話は伺っております」
「本日はお世話になります」
カーテンで仕切られた空間で、細かなサイズを計られたその後は、カタログを見せられ、色やデザイン、生地の素材などを、支社長も交えて相談する。
背中に冷や汗が流れるのは、この店で一着作ると、一番安い生地を選んでも十五万円ほどすることだ。