桜の舞う世界








お婆様は……手紙など書かなかったのかしら。











そう思いたくなかった、









でもこれだけ探しても見つからないのであれば
















「お婆様は……手紙を書いていない事になる」













ネガティブな思考が私の頭の中に入り込む













「はぁ………っ」








すると、





ドアが開いた病室に誰かが入ってきた













「誰です、か」








逆光で顔が見えない













「すいません。私は以前この病室を担当していた看護師です」










以前担当していた看護師、?














もしかしたら!









そう思い声をかける







「あの、私は以前この病室で寝込んでいた方の遺族です。お婆様に何か渡されたものはありませんか?」









「なぜ、分かったのです?確かにこの病室の方に手紙を託されたのですが…」










「その!……その手紙を私に下さい」











「貴方は亡くなられた方の
ご遺族なのですね?」






「はい…桜瑚と言います。」










「この手紙はご遺族に渡してくださいと言っていました、貴方の事を言っているのだったら喜んで渡します」











優しい笑を零しながら手紙を差し出してくれる看護師












「ありがとうございます………っ」












手渡された手紙を手に取る










「大事に持っときますね」










「いえ、その言葉は私にではなく亡くなられた方に言った方がいいのでは?」











「それもそうですね。本当にありがとうございます」










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