狼少年、拾いました。
ゼーラにもう会えなくなってしまう……胸が締め付けられるように痛んだ。

言葉がでないミェルナにゼーラは温かく言葉をかけた。

「今まで、ありがとうね。」

「...ええ。幸せになってね。」

喉の奥が自分のものではないようだ。

だが別れを惜しむ一方で、寂しさよりも嘘をついている罪の意識の方が勝っていることをどこかでミェルナは感じ取っていた。



「ゼーラ!何やってたのよ!」

家に帰ると小言をもらうのは分かっていたが、母の眉は思った以上に吊りあがり、声は大きかった。

帰ってくる途中に見かけたの皆の態度といい、何か良くないことがあったのだ。

「ちょっとね。ところで何かあったの?おばさんたち、しきりにひそひそしてたわ。」

母は落ち着かない様子で窓の外を見やった。

「領主さまのところから兵士さんが来てるのよ。」

思いがけない答えだったのでゼーラはもう一度聞き返した。

「だから、兵士よ。都から逃げた罪人を追っているんですって。あんた、今日は家を出ないでよ、大事な時期に余計なごたごたには関わらないでちょうだ____。」

言い終わるか否やのうちに、ドンドンと荒々しく扉を叩く音がした。

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