狼少年、拾いました。
 突然目の前に現れたスティーヌの黒い影のような姿をいきなり目の当たりにし、二人は飛び上がった。

 「す、スティーヌ!」

 ほっとしたように顔を緩めるミェルナだったがスティーヌの顔は固いままだった。

 「他に言うことがあるのではないか。」

 「……ごめんなさい。」

 厳しい口調で言われ、しゅんと小さくなるミェルナ。

 「ほんとに母親みたいだな。」

 面白そうに言うレスクの方にスティーヌは厳しい目を向けた。

 それを察したミェルナは先手を打とうと、食い気味にこれまでの経緯をスティーヌに弁解した。

 「……それで、レスクが助け船を出してくれたの。」

 締めくくりの一言を終えると、伺うようにスティーヌの顔を見た。

 「……ついてこい。二人とも。」

 何を思ったのかスティーヌは諦めたようで、先に歩き始めたその黒い影を見て、二人は目配せした。
 

    *     *     *


 「どこ連れてく気だ?」

 レスクが呟くようにきいてきたが、ミェルナは首を横に振った。

 いつもの帰り道へはいつまで経っても入らず、スティーヌはむしろ、ミェルナは最後いつ通ったか覚えていない道を奥へ奥へと進んでいる。

 日光は大きな木々に遮られ、辺りは日没前のように暗い。

 周りを見回しながらスティーヌの後をついていると、木の根元に群生している茶色いキノコを見つけた。

 これは採るのに苦労している種類だ。

 ここで採集すれば、いつもの場所へ行くよりは楽だろう。

 (スティーヌ、知ってたら教えてくれても良かったんじゃないかな。)

 その時、頭上の木の幹から、きしむような太い金切り声がした。
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