狼少年、拾いました。
 飛び上がるほど驚いて目を凝らすと、猿が2匹、ミェルナ達を見下ろし威嚇している。

 「ちっ、何だよ!」

 木の実の殻を投げつけられ、レスクが舌打ちをした。

 「気にするな、こちらが何もしなければ何もしない。」

 「俺はもうされてるんだけど。」

 「着いたぞ。」

 ぼやくレスクを無視して、スティーヌは立ち止まった。

 「ここ?」

 思わずミェルナはスティーヌに声をかける。

 行き止まりである。

三人は森の中の崖の下立っていた。

 植物のツタに覆い尽くされ、緑の壁のように見えた。

 左右を見渡したがその終わりは見えない。

 「ああ。」

 そう言いながらスティーヌはある一帯に手を伸ばし、青々としたツタを掻き分ける。

 少しして、感心したのかレスクが軽く口笛を吹いた。
 
 「そんな反応、本の中でしか見たことないわよ。」

 そう言いながらもミェルナの目はツタの向こうから現れた古い木の引き戸に奪われていた。

 スティーヌはミェルナ達が気付かないくらい、ほんの少しだけ、得意そうに二人の顔を見て引き戸を開けた。
< 79 / 114 >

この作品をシェア

pagetop