狼少年、拾いました。
びくっとして振り返ると、ゼーラが立っていた。

 「中にいないみたいだったから出掛けてるのかと思ったけど、周ってきてよかったわ。」

 何気ないゼーラの言葉に心臓がぎゅっと一瞬縮んだような気がした。

 さすがにスティーヌは姿を消しているだろうが、器が二人分用意されていたり、何か不自然なところを見られたかもしれない。

 「家のなか、見たの?」

 「どうして?見てないわよ?扉を叩いても反応が無かったからここまで来たの。」

 少し不思議そうに答えてから、風にはためく着古した衣類に目をやるゼーラ。

 「それにしても多い洗濯物ね…あんまり溜めちゃダメよ?」

 「あはは、そうね…薬草ばっか追いかけてちゃ駄目ね。」

 「そうよ、ミェルナを置いてお嫁に行けないわよ、このままじゃ。そういえばこの間街に行ってた__。」

 他愛ない話をつづけながら、ミェルナは正直そわそわして落ち着かなかった。

 何が自分をそんな気分にさせているのか、検討はつかなかったが、早くスティーヌと一緒にレスクの所へ食事を持っていきたかった。

だがゼーラは大切な人だ。

「それでね、シルニーが結婚祝いにってこれをくれたの。」

「わあ!素敵な髪飾り!」

ミェルナはいつも以上に精一杯ゼーラの話に耳を傾けた。

「街へおりた時に買っててくれたみたい。」

そんなミェルナと話しながら、ゼーラは心の中で呟いた。

 (なんだかミェルナ、最近変ね……。)

 話しながらもミェルナの視線はどこかよそへ時々泳ぐのを、ゼーラは見逃さなかった。
< 89 / 114 >

この作品をシェア

pagetop