次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「付き合ってても、そんなの微塵も気づかなくて、彼に申し訳なさそうに謝られて、振られて。はじめて知ったの。馬鹿だよね、私」

 付き合ったことを後悔とか、そういうことではないけれど、告白されて舞い上がって、デートとかにいちいち胸を高鳴らせていた自分を思い出すだけで恥ずかしい。

 高校生だったから、恋に恋したい部分も大きかった。彼氏という存在に憧れて、男女交際というものをしてみたかった。

 でも、よく考えれば、告白されて嬉しかったけど、だからといって彼のことが大好きだったのかと言われれば、そういうことでもなくて。

 そんな幼稚な自分を思い出しては、悲鳴をあげたくなる。同じ頃に、女優として頑張って、隠れながらも好きな人と交際していた朋子とは大違いだ。

 なんとも情けなく、その現実と向き合うのが嫌で、私は同窓会に出ないことにしている。最初の同窓会に参加したときも、彼も私もお互いに避けるようにしてなんとも気まずかったし。

「とにかく、心配かけて申し訳ないんだけど、そういう理由で同窓会には出ないの。はい、この話はもうおしまい。それよりも、そろそろ映画が始まるよ?」

 私は時計を確認し、直人を促そうとしたが、いきなり右手をとられ、直人は外に出ようと歩き始めた。

「ちょっと、映画は!?」 

「また今度にしよう。まだ公開したばかりだろ? 悪いけど、少し付き合ってくれ」

 最初に言っていた話と違うではないか。そう抗議したかったが、直人の強い意思と力に逆らうことができない。

 後ろ髪を引かれながらも映画館をあとにし、私は直人におとなしくついていくことにしたのだ。
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