次期社長と甘キュン!?お試し結婚
「この前も、泣かせてごめん。でも、はじめて見る晶子の泣き顔から目が離せなくて、とっさに動けなかった」
「なっ」
からかわれているわけでもなく、真面目に言われて、私はどう反応すればいいのか分からなかった。なにか言葉を発する前に、直人はそっと私の目元に唇を寄せる。その行動に私はさらにパニックになった。
「もういい。もう見ないで」
羞恥心で顔が熱くなり、首を九十度に曲げて俯き、必死に顔を隠す。
「人の泣き顔は散々見てるくせに?」
「それは」
不可抗力だ、という言葉は突然抱きしめられたことによって声にならなかった。
「晶子だって、少しは弱いところを見せてくれてもいいんじゃないか?」
直人の声をいつもより近くに感じて、私は腕の中でおとなしくなる。
「俺は、晶子の前だと全然格好もつけられなくて。涙もろくて、不器用で、社長になるために人間的にもまだまだで。情けないところばっかり見せてるから」
「そんなことない! 直人のこと情けないとか、かっこ悪いとか思ったことないよ。それに、どんな直人でも、直人は直人だから」
珍しくはっきりとしない口調で弱々しく告げる直人に、私はあれこれ考える間もなく今度こそ力強く答えた。すると、少しだけ直人の肩の力が抜けたような気がした。
「そんな風に言ってくれる晶子だから好きになったんだ」
「そんな風に言うのは、私だけじゃないと思うけど」
本当は嬉しいのに、つい可愛くないことを口にする。けれど、それは本音でもあった。だって、私だけじゃなくてきっと朋子だって……。
「なっ」
からかわれているわけでもなく、真面目に言われて、私はどう反応すればいいのか分からなかった。なにか言葉を発する前に、直人はそっと私の目元に唇を寄せる。その行動に私はさらにパニックになった。
「もういい。もう見ないで」
羞恥心で顔が熱くなり、首を九十度に曲げて俯き、必死に顔を隠す。
「人の泣き顔は散々見てるくせに?」
「それは」
不可抗力だ、という言葉は突然抱きしめられたことによって声にならなかった。
「晶子だって、少しは弱いところを見せてくれてもいいんじゃないか?」
直人の声をいつもより近くに感じて、私は腕の中でおとなしくなる。
「俺は、晶子の前だと全然格好もつけられなくて。涙もろくて、不器用で、社長になるために人間的にもまだまだで。情けないところばっかり見せてるから」
「そんなことない! 直人のこと情けないとか、かっこ悪いとか思ったことないよ。それに、どんな直人でも、直人は直人だから」
珍しくはっきりとしない口調で弱々しく告げる直人に、私はあれこれ考える間もなく今度こそ力強く答えた。すると、少しだけ直人の肩の力が抜けたような気がした。
「そんな風に言ってくれる晶子だから好きになったんだ」
「そんな風に言うのは、私だけじゃないと思うけど」
本当は嬉しいのに、つい可愛くないことを口にする。けれど、それは本音でもあった。だって、私だけじゃなくてきっと朋子だって……。