次期社長と甘キュン!?お試し結婚
 そんなにお酒に弱くはないつもりだったが、連日の睡眠不足や疲れもあってか、思った以上に酔いが回ってしまい、こうして上田さんと事の顛末を知った数名の女子社員に心配をかけているというわけだ。

 店を出て、すぐそばの公園のベンチに私は腰かけて、買ってきてもらった水を口にする。ちなみに部長をはじめ、他の同僚たちは意気揚々と二次会に行ってしまった。

 風が気持ちいい、と言いたいところだが、じめじめした風は不快以外のなにものでもない。

「私のせいですから、ちゃんと送らせてください!」

 責任を感じた上田さんが、わざわざタクシーで自宅まで送っていくと申し出てくれるのを、私は鈍くなった思考回路を働かせ、なんて断ろうかと必死に考えていた。

 なんたって、あんな高級マンションまで送ってもらうわけにはいかない。どう考えても私のお給料では住めそうにもないのに、なんて説明すればよいのだ。

 仮にそこをクリアできたとしても、部屋まで送る、となったときに直人と鉢合わせしないとも限らない。

「でも、そんな調子で帰せないでしょ。なにかあっても困るし。……迎えに来てくれる人とかは?」

 同僚から提案をされ、私は頭を抱える。それは、ますます難しい。直人にこの場に迎えに来てもらうという選択肢は、まずない。迎え……。

 そこで私はある人物の顔が浮かんだ。
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