願いが叶ったその時…






        side士苑



久しぶりに『桜花』の幹部会議をサボって
実家に足を踏み入れた。
玄関の扉を開けると知らない女の靴があり
俺は急いで中に入る。


リビングのドアを開けると
目の前には、ずっと探していた
ずっと会いたかった、ずっと謝りたかった
大切な姉の姿があった。


だが、俺は『桜花』の幹部だ。
カツラと眼鏡でわからなかったとはいえ
俺は百合の目の前で平然としていた。
それを見られた今、あいつの目の前に
でれるわけない…


それでも、うれしいんだ
ずっと会いたかった姉とやっと
こうして会えたのだから…



でも、百合は俺のことを覚えてない
それもそうだ。
生まれてすぐに引き離されたんだ
覚えていた方が奇跡
だけど、このチャンスは二度とこない




「俺は、お前の、弟だ」


百「…え、」


「俺は百合の双子の弟だよ」



壁にもたれかかり
震えている百合は頭を抱えながら
膝の上においてある写真縦をみていた
そこに写っている
家族皆での写真…




百「し、らない…私は、ずっと、」


「俺は、父さんと百合を…裏切ったんだ」


百「なに、いって」


「母さんを殺したのは…叔父だ
 そこでずっと育てられてきた」




二度と百合には会わない
そういわれてきた、そう決めていた
だけど、俺のいる学校に来て
『桜花』の姫になったって聞いて…
正直、嬉しかった




「ごめんっ…百合、ごめん…
 俺は、最低だ」



あいつが殺したってことには気づいてた
裏でなにをしているのかも…
それを知っておきながら俺はあいつの所で
あいつのそんな金で…生きてきたんだ



百「士、苑?」



「っ」



顔を上げると百合は立ち上がり
少しずつ俺に近づいてきた。




百「私ね、草薙組の人に買われたの」



知ってるよ



百「すごく優しくてね、
  私なんかを好きだって言ってくれたの」




うん…




百「だけど、どうしてかな…
  あの人の傍にいたときの安心感とは
  違う安心感が、貴方から感じるの」




気がつけば、俺は百合に
抱きしめられていた。
引きはがそうとしたが百合の手が
離そうとしなかった




 
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