願いが叶ったその時…






詳しくはなし聞くと
秋さんと凪穂さんは本当の姉弟ではなく
義姉弟というやつだった
でも、私が似ているというと
凪穂さんはどことなく嬉しそうにしていた




凪「ところで、貴方に聞きたいのだけど」


「え?」


凪「貴方の、過去について」


「っ」


夏「おいっ…百合?」


「そんなの、調べればわかっていますよね?
 大事な息子の女の事を調べてない訳ない」




世界にも有名になっているこの組が
私なんかの小娘1人のことを
調べられないなんて事はない




凪「知ってるわ…
  だけど、貴方自身から聞きたいの」


「私の話なんて聞いたところで
 面白くもないですよ」


凪「百合、今の貴方は過去があったからこそ
  ここにいるんじゃないの?」



過去があったから、今がある?
過去があったから夏風に会えた?
もし、夏風が父さんに会っていなかったら
父さんが夏風を助けていなかったら
私は今、ここにいない



夏「百合、無理すんな」


「…私は、殺し屋でした」


士「姉さん」


「叔父に一度売られたとき
 私を助けてくれたのが殺し屋『鴉(カラス)』
 私はその人の助けになりたくて
 その人に認めてもらいたくて殺し屋になった
 そうしたらそこが私の居場所に
 なるかもしれない…そう思った…
 だけど、実際はそうじゃなかった。
 殺し屋になっても結局私の心が弱かった
 あんな、人でなし達を助けたせいで
 私は、恩人にすら捨てられてしまった」




『桜花』なんかを助けたから
私はまた1人になってしまった。
そして、裏切られる始末
なんて、惨めなものだろうか




「私は、どこにいても中途半端で
 誰の役にも立てなかった
 結局は裏切られてあの人の足を引っぱって
 助けになんかならなかった」



私が誰かのためにしようとしたことは
全部壊れてしまう
手の隙間から抜け落ちていくように
私は、誰かの役に立つことなんてできない




「ただ1人、兄と呼んでいた人の期待を
 私は裏切ってしまった」


凪「貴方は、まだその人に会いたいと
  思っていますか?」


「…もし、会えたら…私は謝りたい」



期待はずれな弟子で申しわけないと
もっと貴方の話を聞いてあげられたら
私は傷つかずに済んだかもしれない



凪「…だってよ、隼」


「っ」


隼「百合?」


「…隼、兄さん」



目の前にいるのは本当に隼兄さん?
私の前から消えたのに…
もう二度と私なんかとは会いたくないはずじゃ
なかったの?



隼「やっと、会えた」


「なんで、」


隼「ずっと探してたんだ
  すまん、何があっても1人にするなんて
  しなきゃよかったのに…
  あんな奴らに任せるんじゃなかった」



頬にすべる手は凄く暖かくて
初めて会ったときに
差し伸べてくれた手と同じだった





 
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