スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―


「1年生のぶんはどうにか終わって、今は2年生の教科書のおさらいですよ。

今日は『名前をみてちょうだい』っていう、わたしも好きなあまんきみこさんの物語の解説をやりました。でも、それがどうかしましたか?」


頼利さんは、そっとわたしから視線をそらして、後部座席のらみちゃんを見た。

涼しげな切れ長の目に、濃いまつげの影が掛かっている。

きれいな顔立ちだなと、わたしは素朴な感想をいだいた。

頭のどこかがふわふわしている。


「あんたが加納って男を前にして震えてたとき、らみは、この上なく正確に状況を判断した。

その場面は喜怒哀楽のうち怒りをぶつけるべきものだと、あのらみが、自分で理解したんだ。出会ったこともない難しい状況だったのに」


「あのときは本当に、らみちゃんに助けられました。勇気があって優しい、いい子ですね」


「先生、あんたの手柄だよ。らみの国語の質問にあんたが丁寧に答え続けてくれるから、らみがきちんと成長できてる。ありがとう」


思いがけなかった。

らみちゃんの成長をハッキリ示されたことも、頼利さんから「ありがとう」と言われることも。


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