スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「なあ、先生。あんたがジャズについて、思ってた音楽と違ったって言ったように、おれもあんたについては、想像してた人間と全然違った。らみが懐くのも道理だ」
ぽん。
わたしの頭の上に、温かい手のひらが載せられた。
その手は、わたしの髪を撫でて、後頭部を包み込むように止まる。
ぬくもりがわたしに近付いて、柔らかいものが額に触れた。
一瞬と呼ぶには長い時間。
後頭部をそっと押さえられて動けない。
ぶわっと、顔に熱が集まった。
額にキスされるなんて初めてだ。
頼利さんの唇が離れていく。
わたしの頭をもう1度だけ撫でた手が、優しく肩を叩いた。
「じゃあ、おやすみ、先生。明日の朝も気を付けろよ」
頭がボーッとしてしまって、車を降りて玄関に入るところまでの記憶がない。
気が付いたら玄関にへたり込んでいた。
玄関扉の向こうでカチリと音がして、赤外線センサーの外灯が消えた。