スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―
「そうね。適当なくらいが楽しいでしょ?
俊文くんの押し寿司は箱庭みたいできれいで、ああいうお料理も素敵だけど、たまには独身アラサー女子らしく、好きなものばっかりのわがままな適当レシピもいいじゃない?」
適当って繰り返しながら、美香子先生の手つきは丁寧で、刻み野菜や錦糸卵が美しい。
わたしが担当したサラダの具材たちは、不揃いでゴロゴロしてる。
高速モードで炊き上がったごはんを大皿で冷ましながら、すし酢で和えて、刻んだ具を混ぜ込む。
それから、思いのままにトッピング。
サラダの盛り付けも完了させたら、すごい達成感があって、思わず写真を撮ってしまった。
「なぎさ先生、飲み物は何にする? 生協のオーガニックのジュース、昨日届いたばかりだから、まだ何でもあるわよ」
「じゃあ、香港フィズの紹興酒抜きで」
「ずいぶんマニアックなジンジャーエールね」
「おお、通じた! さすが隠れ酒豪の美香子先生!」
「わたし、紹興酒は好きなの。はい、ジンジャーエール」
美香子先生が愛飲するオーガニック系ジュースのシリーズは瓶入りで、全体としてくすんだ色をして、底のほうには成分が沈殿している。
フレッシュな素材を、可能な限り加工せずにジュースにしているから、そんな見た目になるらしい。