別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
節約しながらお金持ちとの結婚を夢見ているといった変なイメージを、一刻も早く払拭するしたい気持ちでいっぱいだけど、こういうマイナスイメージの評判はなかなか消えない。

今後の仕事を思うと憂鬱になる。

重い溜息を吐いた時、ふと閃き直後奏人に詰め寄った。

「ねえ、奏人が私に名前と職業を隠していたのって、私を警戒していたからなの?」

つまり、部長の言った噂を信じて、がっついた婚活女だと思ったって事なの?

いわゆる御曹司の奏人は、玉の輿狙いの婚活女子にとっては、格好のターゲットだ。

奏人は気まずそうにしながらも頷いた。

「誤魔化さないで話す約束だから言うけど、正直言って警戒していた」

や、やっぱり、そうだったんだ……嫌な予想が見事に当たり、私はがくりとうな垂れた。

「……それで一年も演技を続けていたんだ。私の婚活のターゲットにされたら面倒だと思って嘘言ってたんだ」

「いや、それは……」

「見た目も今までと全然違うよね。別人みたいだよ。私と居る時はいつも緩い格好をしていたのも警戒の為? 本当はイケメンだってばれたらシツコク迫られると思ったから?」

思うまま言葉にしていたら、どんどん怒りが膨らんで来る。

「違うって、理沙とりあえず落ち着いて……」

「無理でしょ⁈」

奏人が何か言おうとしたけれど、今の私は聞く耳なんて持てない。

馬鹿にされすぎた屈辱に頭がクラクラする位、感情が抑えられない。

だいたい“とりあえず落ち着いて”ってどういう事?
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