別れたいのに愛おしい~冷徹御曹司の揺るぎない独占愛~
「理沙、落ち着けよ」
奏人はしつこく、私に手を伸ばそうとする。
「無理! 奏人は勝手過ぎる。 我儘だよ、それにあまりに酷すぎる。誠実な人だと思ってたのに本性は全然違うんだね!」
私の大好きだった優しくて思いやりが有って誠実な恋人は、実は自己中おぼっちゃまだったのだ。
私の非難する言葉に、奏人は伸ばしていた手を戻し、すっと目を細めて冷ややかに私を見た。
……怒らせたのかもしれない。
でも構うもんかと思う。だって私は間違った事は言っていない。勝手なのは奏人の方なのだから。
負けずに睨み返す私に、奏人が言った。
「俺は誠実に話している。理沙が嘘は嫌だと言うから真実しか言ってない。理沙にとって不快で俺にとって不利な内容だとしても偽りを言わないのが誠意だと思ってる」
「それはそうかもしれないけど……」
確かに嘘は言ってないかもしれないけど……でも正直に話せば何でも許される訳じゃないと思う。
怒るかと思っていたのに、淡々と語られ戸惑ってしまう。
その隙を逃さず奏人は更に言い募った。
「嘘を言うなと言ったのは理沙で俺はそれを守っている。話を聞くと約束したのも理沙だ。それなのに、感情的になって途中で投げ出すのは勝手じゃないのか? 理沙こそ自己中で我儘なんじゃないのか?」
「わ、私が我儘? え?……でも……」
私は混乱して口籠ってしまう。
いつの間にか私が悪者になっているんだけど、なぜ?
私が自己中な訳がない。奏人の方がずっと酷い事をしてるんだから、責められるのは奏人のはずだ。
それなのに、奏人はいかにも寛容そうに微笑んで言った。
「でも俺は理沙の我儘を許すよ」
「……なんで?」
私が許される立場なのでしょうか?
奏人はしつこく、私に手を伸ばそうとする。
「無理! 奏人は勝手過ぎる。 我儘だよ、それにあまりに酷すぎる。誠実な人だと思ってたのに本性は全然違うんだね!」
私の大好きだった優しくて思いやりが有って誠実な恋人は、実は自己中おぼっちゃまだったのだ。
私の非難する言葉に、奏人は伸ばしていた手を戻し、すっと目を細めて冷ややかに私を見た。
……怒らせたのかもしれない。
でも構うもんかと思う。だって私は間違った事は言っていない。勝手なのは奏人の方なのだから。
負けずに睨み返す私に、奏人が言った。
「俺は誠実に話している。理沙が嘘は嫌だと言うから真実しか言ってない。理沙にとって不快で俺にとって不利な内容だとしても偽りを言わないのが誠意だと思ってる」
「それはそうかもしれないけど……」
確かに嘘は言ってないかもしれないけど……でも正直に話せば何でも許される訳じゃないと思う。
怒るかと思っていたのに、淡々と語られ戸惑ってしまう。
その隙を逃さず奏人は更に言い募った。
「嘘を言うなと言ったのは理沙で俺はそれを守っている。話を聞くと約束したのも理沙だ。それなのに、感情的になって途中で投げ出すのは勝手じゃないのか? 理沙こそ自己中で我儘なんじゃないのか?」
「わ、私が我儘? え?……でも……」
私は混乱して口籠ってしまう。
いつの間にか私が悪者になっているんだけど、なぜ?
私が自己中な訳がない。奏人の方がずっと酷い事をしてるんだから、責められるのは奏人のはずだ。
それなのに、奏人はいかにも寛容そうに微笑んで言った。
「でも俺は理沙の我儘を許すよ」
「……なんで?」
私が許される立場なのでしょうか?