勘違いも捨てたもんじゃない

はぁ…、波が激しいのにも慣れないと辛いかも…。
一日…数時間、濃い時間を過ごして、後は暫くと言って言い程、何も無い日々。どこかで今日連絡があるかもしれないと期待しながら、そして…がっかりしながら過ごす日々。

本当に身体に良くないかも知れない。
いつも期待はしない約束だ。待って、…依存してはいけない。でもその分、思いは募るばかり…。

誕生日に貰った指輪は引き出しにしまってある。着けていたい気持ちと、その事で周りに勝手に思い込まれる誤解の恐さ…。誤解の恐さの方を取った。
私の年齢で突然指輪なんてしていたら、いよいよ結婚か、なんて、決めつけられてしまう。
女の指の異変に女は目敏い。指輪イコール彼、イコール先には結婚があると思われがちだ。
…若しくは、とうとう自分で買って…、私には彼が居るのよ的な見栄を張ったと。
何れにしろ、素直に職場でなんて着けていられない。
…若ければ、彼から貰ったの、で済むだろう。別に先までそんなに気にされないから。いつ別れようが…彼止まりで終わる恋が繰り返されていいんだから。それが私くらいの年齢だと…。
大切な指輪に変わりはない。何も害が無い。だからせめて家に居る時は着けている。
武蔵さん…。恋しくて堪らないのに。
ブー、…。え?

【忘れられてしまったかな?】

…安住さん。この人は、…上手い。絶妙なタイミングで心の隙間に入り込まれてる気がする。

【忘れています】

【酷いな。今回は忘れられないようにしたつもりなんだが。実は君って天の邪鬼かな?】

天の邪鬼?安住さんに対して、そんなことはない。…忘れる訳が無い。あんなインパクトのある置き土産。

【性格が特殊なのは認めます】

【ハハハ。面白いな、やっぱり面白い。面白くても、私は抱ける】

…もう。何を言っているのだこの人は。夜は人を変えてしまうのかしら。
今夜は満月だったかしら?

【贈り物を発注した】

…え?

【明日にでも届くだろう】

贈り物?一体何を…何故。

【爆弾ですか?】

【ハハハ、面白過ぎる。君は、私に消されなければならない事でもしたのかな?】

【…さあ、どうでしょう】

【面白い。とにかく、送ったから。受け取るか、拒否するかは、好きにしてくれて構わないから】

…駄目。宅配ボックスに入れるようにしてあるかも知れない。この人は隙の無い人。

【受け取りの拒否はしたくてもできないのでは無いですか?】

【賢いな、もう気付かれてしまったか。私も、送ったなんて言わなければいいのだが。つい、連絡をしたくなってしまった。嫌なら開けずに捨ててしまえばいいだけの事だ。願うのは、明日、お礼のメールのみかな。では、おやすみ】

…おやすみなさいは送らないんだから。
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