勘違いも捨てたもんじゃない

ふぅ。…眠れない。眠れる訳が無いんだから。
…こんな時間だけど。折角だからどら焼き食べちゃおかな…。
ベッドに一度入っては見たけどノロノロと起き出した。

…そのまま、片付けもせず、テーブルの上には飲みかけのカップ、…みたらし団子、…どら焼きの入った箱…。うさぎがソファーに座っていた。
……カップ、洗って置かなくちゃ…。お団子も…取り敢えずしまっておこう。…どら焼きも、やっぱりしまおう。両方とも冷蔵庫に入れた。

…ストンとソファーに腰掛けた。無意識だ、膝にうさぎを乗せ抱いた。当たり前だけど、安住さんの香りが微かにした。これ…家にあった訳じゃ無いだろう。来る時に買って来たのかな…。悔しい事にこの年齢だけど、この手のぬいぐるみは好き。…。敢えて買って置いてはいないけど。大きさも柔らかさも丁度良くて、無意識にこうして抱きしめてしまう…。クッションだって座れば膝の上に乗せがちなんだから、…同じ事。…物に罪は無い。

あ、携帯。……留守電。はぁ…武蔵さん。武蔵さんは来ていたんだ。…いつから?
あれはやっぱり本当にかけていたの?…下に来ていたんだ。…武蔵さん。

【何も無いから、信じて】

…携帯が胸で震えていた。真希…。真希に違いない…。もう着く。


「若、…浩雅、起きろ、起きろ」

「…ん、あ、ぁ…着いたのか」

「着きました」

「…有難う、悪かったな」

降りて部屋に入って行く。

…真希…。

【起きてるか?】

【はい】

【すぐ行く。部屋を開けるまでは起きててくれよ?】

あ、…武蔵さん。

【はい!】

帰って来た道を安全圏内で猛スピードで引き返した。
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