勘違いも捨てたもんじゃない
ピンポン。
武蔵さん。
…コンコン。カチャ。
「武蔵さん!」
「…真希」
「ごめんなさい…」
抱き着いて来た真希を抱きしめた。
…僅かだが浩雅の匂いがした。
「…武蔵さん?」
「あ、ああ」
真希を抱き上げた。俺の首に真希が腕を回した。
「……真希、風呂入ろう」
「え?…え?」
「いや…簡単にシャワーを浴びたい、真希も付き合って」
「えっ?私も?…いきなりそんな…恥ずかしい。私はいい…」
「大丈夫だ。俺も裸だろ?」
有無は言わせない。勝手知ったる人の部屋。
浴室に向かいコックを先に捻った。勢いよく噴き出すシャワーを横目に、着ていた物を手早く脱いだ。真希の薄手の服も脱がせた。
「…あ、私は…やっぱり入らなくてよくない?」
「一緒にだ」
下着姿を隠そうとしていたが、その手を取り中に入った。
俺がシャワーしたい訳じゃない。真希の身体を洗い流したいんだ。浩雅の匂いを綺麗さっぱり消したいだけだ。いや、俺も冷静になる時間が少し欲しかった。
「あっ、武蔵さん…、濡れてしまう…」
「いいんだ、濡れるんだから」
抱きしめられて一緒に頭からシャワーを浴びた。濡れた髪を掻き上げられながら、武蔵さんの唇は私に強く触れた。
「真希…ん」
んん…。…苦しい。身体がもう疼いてる。いきなりこんな…荒々しく深く探られてる。ん、ん、息が…継げない。ブラを外され、…ショーツも。脚を交互に抱えるようにして剥ぎ取られた。回した腕で強く抱かれた。
「…真希…」
「あ。…武蔵さん」
あいつの匂い、服に付いていただけだ。そんなのは解っている。だけど。完全に消してしまいたい。真希が欲しくて、俺のモノにしたくて、狂おしい程長く深く口づけを交わし続けた。
「ん゙ん゙…、はぁ、武蔵さ、ん…?ん、んん…」
暫く流れ続けていたシャワーは止まった。
「真希、…ごめん」
はぁ。息があがっていた。唇が離れると顔から手を離し、抱きしめられた。…解っている。武蔵さんがした事の意味。私が悪い。
「このままで居たら、風邪をひいてしまう…」
「…ああ」
強く抱きしめられて、抱き上げられた。武蔵さん…私を捕まえていて欲しい…。
ベッドに横たえられた。
「こんな俺、嫌か?」
俺の行動は…ヤキモチから乱暴に抱こうとした…。
「…ううん。来てくれて嬉しい……ごめんなさい」
上から見下ろす俺に真希が腕を回して抱き着いて来た。もう、夜は更に深くなっていた。
「…すぐ帰らないと、だな」
「…はい」
濡れた身体をシーツに包まりながら抱き合った。…組み合った手、俺の指に真希の指輪が触れた。…真希。こうしてこの指に存在している間は、ただ嵌めている訳では無く、思いがあって嵌めてくれていると思っていいんだよな。
「真希……」