好きにならなければ良かったのに
「当たり前だろ、お前以外に誰に送るて言うんだよ」
でも、サイズが違っていた。てっきり晴海の体のサイズではないのかと思えた美幸は幸司の視線から目を逸らす。そして頬を膨らませて言い返す。
「でも、サイズが違っていたわ」
「あ、スマン。実は、新婚旅行の時のお前の体のサイズを思いだして……」
そう言う幸司は恥ずかしそうに頬を赤く染めて俯く。しかし、何故、そんな四年も前の頃のサイズを思いだしたのか。と言うより、そんな当時の体のサイズを覚えていた方が不思議に感じる美幸は幸司を睨みつける。
「嘘じゃないよ。美幸との新婚旅行は楽しかったんだ。あの時の美幸が凄く可愛くて……忘れられなかったんだ。だから体のサイズもつい……」
「あの頃より私は少し背が伸びたし、体重だって……その」
美幸はあの頃より少し大人びて体も丸くなり身長も体重も多少変わった。そんな体型の変わる前のサイズを覚えていた幸司に逆に美幸は驚く。
「ごめん、じゃあ、あのワンピースは?」
「箪笥の肥やしになってるわよ」
「だったら、明日、一緒に買いに行こう。美幸に似合いのワンピースをさ。それを来てお義父さんのお見舞いへ行こう。お腹の子の報告していないだろ?」
少し気まずそうにして言う幸司に美幸はクスクス笑うと「そうね」と答えて幸司の首に抱きつく。
「おい、もうそろそろ寝なきゃ」
「いいの。明日は会社休みなんでしょう?」
「けど、睡眠不足は体に良くないしお腹の子にも良くないんだ。また明日も可愛がってやるから、今夜はもう寝よう」
心のモヤモヤが晴れるとすっかり上機嫌になった美幸は「うん」と頷いて幸司の胸に頬を擦り寄せた。「裸のままじゃお腹の子が風邪を引くぞ」と言いながらベッドから下りた幸司は、美幸のお腹を冷やさないように脱がした服を拾い集める。
そして、美幸に服を着せると、今度こそしっかり美幸を抱きしめ乍ら眠ることに。
すると、また美幸が思いだしたように質問する。
「どうして衣装ケースをトランクの中に入れたままにしてるの?」
「……その……、言わなきゃダメか?」
「許さないわよ」
美幸の強気の発言に、ヤレヤレと幸司は言い難そうに鼻の頭を指先でかきながら言うと。
「結婚して初めて美幸に送ったプレゼントだから、記念に俺がケースを貰ったんだよ」
「時々トランクの中を眺めていたのって、どう言う意味なの?」
「……美幸がちっともワンピース着てくれないから、嫌だったのかなって……その、衣装ケース見て悩んでいた」
何もかもが分かってしまうと、面白可笑しくて笑い転げてしまいそうになる美幸に、幸司は「だから言いたくなかったんだ」と怒って不貞寝してしまった。