再会は、健康診断で。

西川を見つけたときには俺はびしょ濡れだったけど、そんなことも気にならないくらい西川を見つけられたことにホッとしていた。


案の定泣いていた西川の手を握って、俺がいるからなんてかっこつけた気がする。


昔の思い出に懐かしい気持ちになるけど、思い出に浸っている場合じゃない。西川に俺の気持ちをしっかり伝えないと。


そのために手紙を書いて、やっと会うところまでこぎつけたんだから。


「本当に、ごめん。あんなところでキスしたことも、小学校の頃いじめてたことも、本当にごめん」


ぐっと拳を握って言葉を絞り出すと、西川はぎゅっと唇を噛んでからふうっと息を吐いた。


その様子にやっぱりだめかと覚悟を決めた俺の耳に、意外な言葉が飛び込んでくる。


「……もう、いいよ」


俺の耳に聞こえてきたのは否定的な言葉ではなくて、むしろ逆だった。


「え……?」


幻聴かと思って間抜けな顔をしてそう聞き返す俺に、西川は困ったように眉を下げる。


「だから、もういいよ。もう別に怒ってない」


西川のその言葉をまだ信じられない俺はさらに聞き返してしまうけど、西川はそれにもしっかりとうなずいてくれる。


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