再会は、健康診断で。

かえは、やっぱりその男のことが好きなんだろうか。俺と会っていてくれた、あの時間はなんだったんだろう。


『平根、なんでもないから。この人ふざけてるだけで、ひゃっ！』


『感じやすいね、かえちゃん。かーわい。これから楽しみだな』


その男の言葉に俺はハッとする。感じやすいって、この男かえになにしてんだ。


『黒崎さん、いい加減にしてください。返して』


怒っているようなかえの声が聞こえて、そこで電話が切れてしまう。


なんだこれ。状況がまったく理解できない。男の方がかえのことが好きなのは間違いない。でも、声を聞く限りかえは嫌がっていたような気がする。


どんな状況なのかは分からないけど、その男とふたりでいるのはたしかだ。


状況をたしかめたいのと、かえの口からその男とどういう関係なのかを聞きたくてもう一度電話をかける。


「出ねぇし」


何回、電話をかけてみても一向に繋がる気配がない。


さっき相手の男が言ってた感じやすいとか、これから楽しみだって言葉が嫌な想像を助長する。


だけど、かえの声は嫌がってるみたいだった。もしかえが無理やりなにかされたりしたらどうしよう。