再会は、健康診断で。

知らなかった。俺って、こんなにネガティブな人間だったんだ。自分が情けなくて、ため息をついて髪をぐちゃぐちゃとかき乱す。

別に彼氏でもないのに、他の男といるのを問い詰めるとかやばいな。


自分がなにを言い出すのか分からなくて、これ以上かえに情けないところを見せるのが嫌で、一旦電話を切ろうとする。


『……振ったの』


電話を切ろうと口を開こうとした俺の耳に、そんな声が聞こえた。


振った? え? どういうこと?


「え?」


かえの言っていることがよくわからない俺は、そう聞き返した。


『だから、振ったの! 優しい落ち着いた人なんて嘘で本当は性格の悪い最悪な人で振ったからムカつくって嫌がらせで色々されたの。ご飯に行ったのだって、行かないとキスするって脅されたんだもん』


かえの今にも泣き出しそうなその声に、俺はその言葉を頭の中で反芻する。


振った、かえが、その男のことを。それでムカつくからって、振られた腹いせに嫌がらせされて……。


かえ、携帯とられて連絡できなかったって言っていたよな。


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