再会は、健康診断で。

あんな意味深なことを言って、連絡をとれないようにしてたのも嫌がらせ?


だとしたら、効果覿面だったわ。そいつ、めちゃくちゃ性格悪いな。誰だよ優しくて落ち着いてるなんて言った奴。


ていうか、キスするって脅されたってなに!?


「え、キス!? なに、その人。結城さんより性格悪い。かえ、本当になにもされてないの?」


まだ、あの人のほうが分別があるわ。そんなとんでもない男とふたりっきりだったなんて、大丈夫だったのか心配になる。


かえは首をちょっと舐められただけだから平気だなんて言っているけど、俺的にそれ、全然平気じゃないんだけど。

だけど、そうか……振ったのか。


『だって私が好きなのは、平根だもん』


安心してホッとして気が抜けていた俺に、そんな言葉が聞こえた気がした。


え、なに、幻聴? ホッとしすぎて自分に都合がいい幻聴が聞こえたのかな。


「え? 今、俺のこと好きって言った?」


『……言った』


念のため聞き返してみると、かえがそう言った。たしかに言った。幻聴じゃない。


あまりの急展開に、俺は驚いて携帯を床に落とした。慌ててそれを拾って耳に当たる。


< 154 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop