再会は、健康診断で。

『平根?』


かわいらしい、かえの声が聞こえてきて胸が高鳴る。ああ、やばい。これ、夢じゃないよな?


『あ、ごめ。びっくりしすぎて携帯落とした。え、本当に? かえ、俺のこと好き?』


かえが俺のことを好きになってくれたことが信じられなくて、そう聞き直す。もう一回、かえの口からその言葉を聞きたい。


「……うん。す、き」


恥ずかしそうなその声に、たまらない気持ちになる。


ちょっと前まで地獄にいたのに、今は天国だ。天国から地獄の逆バージョン。


やばい、うれしすぎて顔のにやけが止まらない。


「かえ、今どこにいるの? 会いたいんだけど」


会って顔を見て、俺のことを好きって言ってほしい。今すぐかえのことを抱きしめたい。


『む、無理。明日早いし……じゃあね』


だけどそれはあっさり却下されて、慌てて名前を呼んだけど電話を切られてしまう。


ソファに身を沈めて、俺は深いため息をついた。


< 155 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop