神様修行はじめます! 其の五
「だから、『違う』とさっきから言っているだろう! 少しは僕の話をまともに理解したまえ!」


 酸素不足でモウロウと霞んだ意識の中に、門川君の怒鳴り声が滑り込んできた。


 その、さもイラついてる声にこっちの方こそイラッときて、消えかけていた意識がグイッと引っ張り戻される。


 ……はあ? なにそのメッチャ上から目線な言い方!


 あたしがどんだけ死にもの狂いで戦ってると思ってやがんの!?


 だいたい『違う』ってなによ!? なにが違うの!?


 そりゃ古代種の炎と滅火の炎は違うでしょうよ! 存在意義がまったく違うんだもん!


 心の中で毒づきながら、改めて目の前の炎を見ると、二種の炎はせめぎ合いながら猛り狂っていた。


 それは戦いというよりも、一見すれば競演しているようにも見える。


 炎、か……。綺麗だな。


 全身全霊で踊るように揺らめく炎の姿を見ながら、疲弊しきって朧になった心が、素直にそう感じた。


 本当にすごく綺麗。炎は原始。宇宙の始まりだ。


 ……あぁ、目蓋が重い。意識が途切れて、目を開けていられない。


 でも、炎と炎が混じり合っている気配がする。


 ちゃんと感じるんだよ。見えなくても。


 だって、あたしもあんたも、炎の種族なんだもの……ね……。


 遠ざかる意識の向こうで、火が酸素を取り込んで燃焼する音がどんどん大きくなる。


 炎が、近づいてくる。


 ほら、燃え盛る炎が、ついにあたしの体を捉えて……。


―― ゴオォォ――ッ!


 あたしの全身は、今度こそ入道の炎に包み込まれてしまった。
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