神様修行はじめます! 其の五
崩壊した広間を素早く見回したけれど、そこに見えたものは仲間たちの姿だけ。
みんな疲れ切ってグッタリしてはいるけど、それ以外は異常はないし、新しい敵が現れた様子もない。
でも門川君はひどく真剣な顔をして、超早口なペースで言霊を唱えている。
『混迷と次第の往来は稀にして提携の姿を現し、其を視えぬ位置と……』
……あれ? この言霊、聞いたことある気がする。
これはたしか月山で、異形の世界に通じる『道』が開きかけてしまったときに、門川君が唱えた言霊だ。
え!? ということは、まさか!
考えたくない可能性に思い至ったあたしは、もう一度、門川君の視線を追った。
そして……。
絹糸の雷撃によって黒コゲになって死んだ九尾の体から、濁った泡のようなものがブクブクと溢れ出ているのを見て目を丸くした。
なんだ!? 九尾って死ぬと、体が石鹸になるの!?
……いや、違う。よく見ればあの変な泡は、九尾の体から発生してるんじゃない。
九尾の体の下から、湧き水みたいに湧き上がってきているんだ。
不可解な泡はどんどん量を増し、床に広がったかと思うと、重力を無視するようにヒュウゥッと浮き上がり始めた。
まるでヒトダマみたいな不気味な動き。しかもこの泡の色ときたら、なんとも気味が悪い色。
思いつく限りの絵の具の色を、ぐっちゃぐちゃに混ぜて溶かした筆洗いバケツの中身を見ているみたいだ。
それに、すごい悪臭。ノドと胸が灼けるような……
「あっ!」
両手で鼻と口を覆いながら、あたしは思わず叫んだ。
叫んだ拍子に悪臭を吸い込んでしまって、激しく咳き込む。
こ、これは異界の空気だ! あのときに嗅いだ悪臭とまったく同じ!
じゃあやっぱり……。
今ここで、『道』が開きかけている!
みんな疲れ切ってグッタリしてはいるけど、それ以外は異常はないし、新しい敵が現れた様子もない。
でも門川君はひどく真剣な顔をして、超早口なペースで言霊を唱えている。
『混迷と次第の往来は稀にして提携の姿を現し、其を視えぬ位置と……』
……あれ? この言霊、聞いたことある気がする。
これはたしか月山で、異形の世界に通じる『道』が開きかけてしまったときに、門川君が唱えた言霊だ。
え!? ということは、まさか!
考えたくない可能性に思い至ったあたしは、もう一度、門川君の視線を追った。
そして……。
絹糸の雷撃によって黒コゲになって死んだ九尾の体から、濁った泡のようなものがブクブクと溢れ出ているのを見て目を丸くした。
なんだ!? 九尾って死ぬと、体が石鹸になるの!?
……いや、違う。よく見ればあの変な泡は、九尾の体から発生してるんじゃない。
九尾の体の下から、湧き水みたいに湧き上がってきているんだ。
不可解な泡はどんどん量を増し、床に広がったかと思うと、重力を無視するようにヒュウゥッと浮き上がり始めた。
まるでヒトダマみたいな不気味な動き。しかもこの泡の色ときたら、なんとも気味が悪い色。
思いつく限りの絵の具の色を、ぐっちゃぐちゃに混ぜて溶かした筆洗いバケツの中身を見ているみたいだ。
それに、すごい悪臭。ノドと胸が灼けるような……
「あっ!」
両手で鼻と口を覆いながら、あたしは思わず叫んだ。
叫んだ拍子に悪臭を吸い込んでしまって、激しく咳き込む。
こ、これは異界の空気だ! あのときに嗅いだ悪臭とまったく同じ!
じゃあやっぱり……。
今ここで、『道』が開きかけている!