神様修行はじめます! 其の五
 冗談じゃない! このままじゃ全員、死ぬって!


「か、門川君、『道』が……」

「言われずとも分かっている」


 そう答える門川君の優美な形の眉が寄って、印を組む両手も小刻みに震えている。


 なんとか術の威力を上げて持ちこたえようとしているんだ。お願い頑張って門川君!


 澱んだ異界の空気が広まる力と、それを押さえつけようとする力が拮抗する。


 一進一退のせめぎ合いの中、彼の白い術光が、パチパチと火花みたいな音をたてて小さく爆ぜ始めた。


 門川君が術を発動するところは何度も見てるけど、こんな現象、見たこともない。


「ど、どうしたの門川君?」

「くっ……」


 門川君の表情が歪んだ。


 目に厳しさが宿り、歯を食いしばるようにして懸命に術を制御しようとしている。


 とたんに、澱んだ空気が広まる勢いが強くなり始めた。


 ただでさえ不完全な術式なのに、無理やり威力を高めようとしたせいで、バランスが崩れたんだ。


 そのせいで『道』の威力が強まって、いよいよ抑えきれなくなってる!


 これは本格的にヤバイ! 人生終了に向かってストレートに驀進中だよ!


 誰かが門川君をフォローしないと! となれば、あたしがやらなきゃ誰がやる!


「ぐ……おぉ……! 根性ぉぉ!」


 気合い一発! 両腕に目いっぱい力を込めて、しゃちほこみたいに上体をグンと持ち上げたけど……


 そのまま力尽きて、ベタッと床に伏せてしまった。


 ダメだ! 体がぜんぜん言う事を聞いてくれない!


 さっきの炎の入道との戦いで、ムダにテンション上げまくったせいだ。もう絞りカスほどの力も残っていない。


 あたしは床に腹這いになった状態のまま、全身にダラダラと冷や汗をかいてアセりまくった。


 あぁ、どうしよう! こうしている間にもどんどん『道』は開いている!
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