神様修行はじめます! 其の五
「門番よ、用があるというなら彼女ではなく私でしょう。異界の『道』を開いたのは、この私なのだから」
異形に話しかけたところで、会話が通じているとも思えない。
でも地味男は『底なし穴』を見上げるように立って、淡々と話し続けている。
「さあ、彼女を放してもらいましょうか」
―― ビュルルッ!
顔色ひとつ変えない地味男の両手の先から、細く短いロープが無数に飛び出した。
それは目視するのが困難なほどのスピードで、『底なし穴』に向かっていっせいに突撃していく。
すると、大木のような本体を形成している無数の腕が、ひとつひとつ崩れて床にボタボタと落ち始めた。
落ちた腕とロープは絡まり合い、ビクビクと床の上を跳ねまわっている。
滅火の術の発動を止めたあたしは、急速に楽になっていく呼吸を整えながら、眉をひそめてその光景を見ていた。
うげ。もげた腕がピッチピチに動き回ってるシーンとか、マジ勘弁して。
体調不良の時に見るもんじゃないよ。……あれ? それにしてもこのロープ、なんだか変じゃないか?
目を凝らしてよく見てみれば、それはロープじゃなかった。
ヘビだ。
薄茶色のマダラ模様のヘビが、尾をビチビチと蠢かせながら腕に喰いついている。
ヘビが『底なし穴』の腕一本一本に食らいつき、引き千切って切り崩しているんだ。
え? ということは、地味男が水園さんを救おうと戦ってくれているってこと!?
地味男、あなた……。
「彼女を返せ。それは私の獲物だ。お前の生け贄にするわけにはいかない」
……あ、そゆこと?
なんだ、いきなり地味男が人類愛に目覚めたのかと思った。ちょっと胸熱になって損した。
でも現状、ここで戦える者は地味男しかいない。
水園さんを取り戻そうとする理由に不満はあるけど、とりあえず負けるな地味男!
異形に話しかけたところで、会話が通じているとも思えない。
でも地味男は『底なし穴』を見上げるように立って、淡々と話し続けている。
「さあ、彼女を放してもらいましょうか」
―― ビュルルッ!
顔色ひとつ変えない地味男の両手の先から、細く短いロープが無数に飛び出した。
それは目視するのが困難なほどのスピードで、『底なし穴』に向かっていっせいに突撃していく。
すると、大木のような本体を形成している無数の腕が、ひとつひとつ崩れて床にボタボタと落ち始めた。
落ちた腕とロープは絡まり合い、ビクビクと床の上を跳ねまわっている。
滅火の術の発動を止めたあたしは、急速に楽になっていく呼吸を整えながら、眉をひそめてその光景を見ていた。
うげ。もげた腕がピッチピチに動き回ってるシーンとか、マジ勘弁して。
体調不良の時に見るもんじゃないよ。……あれ? それにしてもこのロープ、なんだか変じゃないか?
目を凝らしてよく見てみれば、それはロープじゃなかった。
ヘビだ。
薄茶色のマダラ模様のヘビが、尾をビチビチと蠢かせながら腕に喰いついている。
ヘビが『底なし穴』の腕一本一本に食らいつき、引き千切って切り崩しているんだ。
え? ということは、地味男が水園さんを救おうと戦ってくれているってこと!?
地味男、あなた……。
「彼女を返せ。それは私の獲物だ。お前の生け贄にするわけにはいかない」
……あ、そゆこと?
なんだ、いきなり地味男が人類愛に目覚めたのかと思った。ちょっと胸熱になって損した。
でも現状、ここで戦える者は地味男しかいない。
水園さんを取り戻そうとする理由に不満はあるけど、とりあえず負けるな地味男!