神様修行はじめます! 其の五
 生まれたこと自体が恥。生きているだけで一族のツラ汚し。


 それが『持たざる者』に与えられる評価。


 だから、生きることを当たり前に許されている妹が、本当に羨ましかった。


 手の届かぬ月を眺めるように、私はいつも水晶を羨望の眼差しで見つめていた。


 まさかその水晶が、生きる意味も価値もない私の身代わりとなって、死んでしまうことになるなんて……。


『姉様、私が逝くべきです。私には小浮気一族の不幸な境遇を変えることはできないけれど、お姉様にならできる』


 ……いいえ。それは、違う。


 悲壮な決意をした水晶に、そう言いたかった。


『一族の皆が姉様を心から愛しています。だから当然、私が生け贄になるべきです』


 ……いいえ。違う。


 違う。違うの。


 私は愛される価値などない。


 私には一族を救うことなんてできない。


 だって私は……!


『姉様は私の憧れなんです。私の姉様は世界一。姉様の妹としてこの世に生まれたことだけが、平凡な私の唯一の誇りでした』



―― ワタシハ、生キテルダケデ、ツラ汚シナンデス



 そんなこと……


 口が裂けても言えなかった……。



 そして宝石のように澄んだ心を持った妹は、私を信じて生け贄になった。


 能力を持たぬがゆえに、生け贄にすらなれない役立たずの姉の代わりに、死んだ。


 私が心から憧れ、愛した美しいあの月は……


 本当に二度と私の手の届かぬ彼方へと逝ってしまった……。



「あのとき妹を生け贄として差し出してしまった私に、今また、あなたまで生贄として捧げろとおっしゃるのですか!?」


 水園さんの頬を、滝のような涙が流れた。
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