失恋相手が恋人です
「ううん、ちょっと調べたいこともあるし。
萌恵、久しぶりに吏人くんに会えるんでしょ?
私のことは気にしないで、行っておいでよ」

「でも、吏人の友達もくるんだよ?
吏人が沙穂に会わせたがっていた……」

「うーん、申し訳ないけど、それはまた今度ってことで、ね?」

「沙穂、いいの?
何か……ごめんね」

申し訳なさそうな萌恵の声。

「いいの、いいの。
気にしないで。
あっ、私の荷物はそこに置いておいて!
パンを買ったら取りに戻るから」

明るく言い切って通話を終えた。

ふうっとひとつ息を吐き出して。

スマホをバッグに戻そうとしたら。

「……取れた」

頭上から声がした。

「あ、ありがとうございますっ」

そう言って、勢いよく後ろを向く。

そこには。

真上にある太陽に透ける薄茶色の髪。

焦げ茶色をした切れ長の瞳。

スッと通った鼻筋。

私の髪を一房掴んでいる、綺麗な長い指。

ビックリするくらい端正な顔立ちの。

桧山くんがいた。



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