失恋相手が恋人です
そして、そのままの勢いで食堂に戻って。
約束通り、萌恵がきちんと置いてくれていた教科書を持って。
食堂で目についたパンとお茶を何も考えず購入して。
まだドキドキしている胸に手をあてる。
顔の火照りがひいているかを入り口近くの鏡でさりげなくチェックしてから。
私は食堂を出た。
向かう先は図書室ではなく。
食堂のある新館から最も離れた場所にある本館。
古くからある校舎。
キイッ……。
少し鈍い音がする入口の観音扉を開けて。
あまり使われていない場所独特の匂いをかぐ。
ここ、本館は時折講義に利用されるが、専ら空室になっていることが多い。
ただ、普段学生が利用する新館からは離れているし、設備も古いため、空室でも自習などに利用する人は殆どいない。
空室を利用することは表立って禁止はされていないにもかかわらず。
私は階段を五階まで上がる。
本館にはエレベーターが入口から離れた場所にしかない。
エレベーターに辿り着くまでに五階に到着する気がして、私はいつも階段を利用している。
正直、五階までは足腰にこたえる。
次こそはエレベーターを利用しようと毎回思うのだけれど。
各踊り場にある高い天窓から差し込む柔らかい日射しは何だか幻想的で温かくて、今日も頑張ろうかなと思ってしまう。
五階には一つだけ教室がある。
カラカラ……。
乾いた音がする教室の引き戸を開ける。
重たい遮光カーテンが開け放たれた教室は明るい。
この教室は真ん前の黒板に向かって階段のように座席が配置されている。
さながらコンサートホールのようになっているのだ。
私は窓側から三列目、一番後ろの座席に腰かける。
ここが私の定位置でお気に入りの場所だ。
そして。
私が本館にくる理由そのものでもある。
約束通り、萌恵がきちんと置いてくれていた教科書を持って。
食堂で目についたパンとお茶を何も考えず購入して。
まだドキドキしている胸に手をあてる。
顔の火照りがひいているかを入り口近くの鏡でさりげなくチェックしてから。
私は食堂を出た。
向かう先は図書室ではなく。
食堂のある新館から最も離れた場所にある本館。
古くからある校舎。
キイッ……。
少し鈍い音がする入口の観音扉を開けて。
あまり使われていない場所独特の匂いをかぐ。
ここ、本館は時折講義に利用されるが、専ら空室になっていることが多い。
ただ、普段学生が利用する新館からは離れているし、設備も古いため、空室でも自習などに利用する人は殆どいない。
空室を利用することは表立って禁止はされていないにもかかわらず。
私は階段を五階まで上がる。
本館にはエレベーターが入口から離れた場所にしかない。
エレベーターに辿り着くまでに五階に到着する気がして、私はいつも階段を利用している。
正直、五階までは足腰にこたえる。
次こそはエレベーターを利用しようと毎回思うのだけれど。
各踊り場にある高い天窓から差し込む柔らかい日射しは何だか幻想的で温かくて、今日も頑張ろうかなと思ってしまう。
五階には一つだけ教室がある。
カラカラ……。
乾いた音がする教室の引き戸を開ける。
重たい遮光カーテンが開け放たれた教室は明るい。
この教室は真ん前の黒板に向かって階段のように座席が配置されている。
さながらコンサートホールのようになっているのだ。
私は窓側から三列目、一番後ろの座席に腰かける。
ここが私の定位置でお気に入りの場所だ。
そして。
私が本館にくる理由そのものでもある。